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中学受験は「不安産業」なのか!?

・夫のキャリアより「SAPIX」を選んだ妻

えっさんの自宅の近所に「SAPIX」という有名な中学受験に強い進学塾がある。

買い物なんかの帰りに塾の前を通ると、お母さんたちがこの塾の前に子どものお迎えで列をなしているのを「お〜なんか活況だな」と思って通り過ぎていたが、いざ自分に子どもが生まれると都心では特に身近にある中学受験という産業に興味が湧いてきた。

もう5年前くらいになるが、ある仕事のオファーをキャンディデイト(候補者)に断られたことがある。

このオファーは、とても良い条件で、かつキャンディデイトのやりたいことが実現できる魅力的な案件だったと本人も認めているが、これを断った背景を40代男性は理由を次のように説明してくれた。

40代男性
40代男性

今回のオファーを受けると転勤が伴うので妻に相談し、色々な角度で説得も試みました。
しかし、『SAPIX』が近くにないエリアではどうしても子育てできないと言われました。

ということだった!「わぉ!」と内心びっくり。

当時、子どものいないえっさんにとっては「『SAPIX』って数ある塾の1つだよな?塾が断る理由?」とある種の衝撃だったのでよく覚えている。

・中学受験は不安産業か否か

夫のキャリアを差し置いてまで子を持つ妻を熱狂させた「SAPIX」、強いては中学受験とはどんなビジネス、産業なのだろう。

結論をお伝えすると、保険や宗教と同じ性質をもつ「不安産業」なのではないかと今のところ考えている。

話は少し逸れるが、えっさんの仲が良い友人が東京23区の中でも中学受験率が高いエリアに住んでいて、こんな話をしてくれた。

30代友人
30代友人

幼稚園が同じママさんたちで、ほとんどの子が中学受験をする小学校の学区をあえて選んで住居を決めた人たちと全く話が合わなくて、子どもが小学校(中学受験する子もいれば、公立の中学に行く子も半分くらい)に上がってから、付き合いがなくなってホッとした。

えっさんは、その友人の気持ちに共感した。

感覚としては、ある種の信仰(受験は絶対にすべし)に対し、その信仰心がない人にとっては距離を置きたくなることもあるよねという感じに近いかもしれない。

・都市部を中心に中学受験熱が高まっている背景

では、なぜ都市部を中心に受験熱がこれまで以上に高まっているのか。

今はVUCA(Volatility:変動/Uncertainty:不確実/Complexity:複雑/Ambiguity:曖昧)時代とも言われ、コロナをはじめ今後も続く感染症の問題、気候変動やAIの進化や世界情勢など将来の予測が困難な時代を生きている。

それは子どもだけではなく大人も同様に、先が分からない不安を抱えている。都市部に住んでいると周りの雑音も多く、不安感はより増幅しやすい。

そうすると何が起きるか。

例えば、保険契約なんかで考えてみると分かりやすいかもしれない。
自分の親や親族や、親戚はじめ周囲がみんながんを患っていて、自分も将来がんになる可能性が高いのではないかと漠然とした大きな不安を感じていた人がいたとする。

そうすると、今はがん治療も進んでいるが、高度先進医療を受けようとすると高額だ。
そこで、保険料としては高いのだが、その先にある実際の高額な費用を考えると毎月の支払いは少ないように見える。そんな人に若いうちに入っておいたほうがいいと普通よりも高額ながん保険を勧めると保険に加入する割合は、圧倒的に高くなる。中には複数のがん保険に加入する人もいるだろう。

不安が大きいと、多くの人は安心を求め、手厚い保険を求めがちだ。
それが、例え既存のシステムに基づいた補償だとしてもだ。

ますます予測がしにくくなる未来に対して、既存のシステムに基づく手厚いケアが有効な打ち手なのかは分からないが、分からないからこそ親の不安も大きくなるのだろう。

そして、現存システムの不安を緩和してくれると思われているのが「中学受験」なのかもしれない。

・この時代に必要な力を身につけるには?

えっさんはVUCA時代を生き抜くためには子どもが自ら選び、その選んだ場所で学んだり気づいたりしたことを次に活かす習慣を身につけられるようサポートすることが大切なのではないかと考えている。

そういう意味で言うと、親の意向で小学校1年生のうちから中学受験の保険をかけるのはどうなのだろうか。
早くから親の意向で自分の進路選択を誘導される中学受験のその先に、どんな目的と目標があるのだろうかと疑問を持っている。

例えば、子どもから進んで受験する場合は、知り合いのお兄ちゃんお姉ちゃんがとても面白くて優しくて、色々なことを知っていて自分にも分かりやすく教えてくれた。
「私も僕もこんなお兄ちゃんお姉ちゃんみたいに難しいことを分かりやすく伝えられる人になりたい!」と思ったとして、そのお兄ちゃんお姉ちゃんの通っている学校の話も聞いていたので「同じ学校に行きたい!どうしたら行けるか調べてみたんだんだけど、お母さん話聞いてくれる?」といった流れは子どもが自発的にやりたいことを見つけたケースとしては分かりやすい。


しかし、親から誘導された場合、例えば「これからの未来は何があるか分からないのよ。だから、中学受験をすることで●●ちゃんが苦労せずに生きていける可能性が大きくなるの。優秀なお友だちに囲まれて中高一貫で自由に過ごしたら、●●ちゃんの将来も助けになるお友達もたくさんできて、●●ちゃんの選択肢も増えるのよ。だから、中学受験をするの」「うん、お母さんわかったよ。頑張るね!」といった流れで中学受験をすることになったケースはどうだろう。

自分から自発的に挑戦したいと思ったのか誘導されて頑張ろうと思ったのかでは、目的と目標がかなり異なる
自分から何かを体験したいと思い挑戦する。そこから学び、新しい何かに挑戦する。
そしてその挑戦は、自らが選んだものだと思ったら、失敗してもそこから学ぶ。次は失敗という体験をもとに、また新しい体験ができる。
その循環の中で子どもは、自らの能力の活かし方やこれから自分がトライしてみたいことを見つけていくではないだろうか。

そうは言っても、中学受験の選択肢は絶対に外せないという親には、トライアル期間を設定することをお勧めしたい。小学校4年生の1年間進学塾に通ってみて、子どもが楽しそうなのか、楽しそうではないのかよくよく子どもの様子や変化を見守る。そして子どもと膝を突き合わせて話をし、小学校5年生になるタイミングなどで子どもに選択をしてもらうことも視野に入れてもいいのではないだろうか。
すでに中学受験がどんなことを勉強するのか経験をしていたら、子どももその経験をふまえて選ぶことができるかもしれない。

今日の子どもが豊かに生きるヒント!

中学受験にしても何にしても子どもが自ら目標を見つけ、その目標に向けて努力する過程は、その子どもの力になるよ!その時は、全力で応援しよう!けれど、親の考えを子どもの考えより優位に働かせるような誘導は逆効果!子どもの考えを対等に尊重していこう!

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