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幼少期の公営住宅住まいで学んだ「普通って?」という感覚

・ドアに順番にアタックし続ける姉妹

今、特に若者を中心にインフルエンサー的存在のひろゆき氏の⬇︎の記事をたまたま見かけて、団地住まいが普通の中で感じたことを読んでいてえっさんとしても「あ、この感覚懐かしいな〜」と思い出したことがあったので、ブログに書こうと思う!

えっさんの両親は2人とも実家が九州なのだが、父は大学を卒業してすぐ母と一緒に就職のため上京し、母はえっさんの妊娠を機に退職をし専業主婦という家族構成の中で、えっさんは生まれた。
大卒の初任給も低かった時代、両親は都の公営住宅(都営住宅)に抽選を申し込みをし見事当選したことで、えっさんは幼少期を「都営アパート」で過ごしていた。
都営アパートに住むには、収入的なことをはじめ各種要件があるので当時の基準で貧困層の人が多く住んでいたのだ。

なので、えっさんは都営アパートに住んでいた頃を思い出すと、今考えてもどんな風に生計を立てていたのかよく分からない人たちが多くいた。
特に思い出すのは、見事なまでに長い白髪の姉妹だ。2人きりで同じ階の一番奥の部屋に住んでいた。
階の両サイドには非常ドアが付いていたのだが、えっさんが家で母親が弟と買い物に行っている間、1人遊んでいると外から「ドン、ドドドドーンドーン」というすごい音がしてびっくりして何ごとかと部屋の外に出た。
そしたら、その姉妹が交互に非常ドアに向かって全速力で走っていき、身体ごとぶつかっているではないか。
全身でぶつかっては非常ドアの下で倒れ、起き上がると後ろに戻り、また助走をつけて姉妹交互に身体全身で非常ドアにぶつけるということをしばらく繰り返していた。
えっさんが遠くから見ていることに気づくと、姉妹は揃って大きな笑い声をあげて手招きをした。えっさんは、その光景に怖くなってすぐに部屋に戻っていった。

そんな現場を目撃した後一度、姉妹が住んでいる部屋の中に招き入れられたことを覚えている。招き入れられたときは、恐怖よりは興味の方が勝っていたような記憶がある。
もしかすると一度ではないのかもしれないが、思い出せるのは一度きりだ。間取りはどの部屋も同じで畳の部屋が3つの3DKだ。
どの部屋もすごく物が少なくて、異様なまでに生活感がなく、清潔に保たれていた。恐らく外で摘んできた花だと思うが、花瓶の中に花も飾ってあった。
姉妹のどちらか(覚えていない)がえっさんに小声で言ったのだ。「私は普通だ。ただ妹(もしくは姉)は心を病んでいるのでそれを可哀想に思い、一緒に付き合っているのだ」と。

えっさんがそのことを家に帰って母に伝えると、母からは部屋にいかないように忠告された後「2人とも精神が病気で普通じゃないの。虚言癖があるみたいだから、言われたことは信じないように」と言われて幼ながらにショックを受けたのだ。
精神疾患を抱えていたのかもしれないが、今となっては何が真実かは分からない。けれど、何が「普通」なのかということを人生で初めて考えたのがこの時だったと思う。

・父親がギャンブルにハマった大家族

住んでいた都営アパートの同じ階には同級生の女の子が2人いた。1人は知的な感じのオカッパの女の子で、もう1人は見た目が可愛らしい女の子だ。
えっさんが父親の仕事の都合で、海外に引っ越すまでは毎日のように一緒に遊んでとても仲が良かったのだ。

しかし、海外に父を残し母子で戻ってきて、一緒に小学校に通うときにえっさんは2人と約束し待ち合わせた時間・場所(玄関の前)で待っていても、一向に同級生の2人が家から出てこないのだ。
もう流石に学校に遅れそうなので、可愛らしい女の子の方の家まで迎えに行くと「もうとっくに学校に行っている」とのことだった。初めはえっさんが時間を間違えたのかと思ったのだが、それが数回続いてえっさんは気づいた。
えっさんは仲間外れにされてしまったのだ、と。

未だに何が原因だったのかはよく分からないのだが、ある日から突然、仲間外れにされたので15分ほどの通学路を1人で学校に行くしかなかった。
「可愛らしい女の子の方がそうしようって周りに言ったのだろうな」とすぐにえっさんは思った記憶があるので、幼ながらに何か感じていたのかもしれない。

その可愛い女の子はスタイルも良く、運動神経も抜群に良かった。そして、その子の家では夏になると綺麗で明るいお母さんが冷たい麦茶を出してくれて、えっさんはその友人の家が羨ましかった。
えっさんちのお茶は母が健康志向すぎて麦茶ではなく、どくだみ茶だったのだ。今でこそどくだみ茶は好きだが、当時は苦いし家のお茶が好きではなかったので、その子の家で麦茶を飲めることがすごく嬉しかったのだ。

都営アパートからは小学校の途中で引越しをしたのだが、同じ階に住みながら疎遠となってしまった可愛らしい女の子はずっと同じ場所に住み続けていたようだ。
妹弟が生まれたのに、父親は不倫とギャンブルを繰り返し、多額の借金を作ったようだ。そして、離婚をして母子家庭になったようなことを風の噂で聞いたのだ。

月日は流れ引越しをしてから一度も会っていない彼女と再会したのは、20歳の小学校の同窓会だった。
特に懐かしいわけでも素敵な思い出がある小学校でもなかったが、同級生たちがどんな人生を歩んでいるのか興味があって行くことにしたのだ。
しかし、期待は外れ20歳にもなって相変わらず女子グループに序列をつけて分かれたがる雰囲気のままのクラス会だった。しかし、序列では一番下?のグループに分類されていた女の子たちがえっさんに色々と話しかけてくれたのだ。2次会にも熱心に誘ってくれたので「こんな穏やかそうな人たちがいるなら!」と思って途中で帰らずに、最後まで参加することにしたのだ。

2次会までに少し時間があったので別のクラスの人たちを見渡すと、その可愛らしかった女の子がそのまま大人になっているではないか。相変わらずモデルのようなスタイルで、すぐにその子だと分かったのだ。
「きっと異性にもモテるに違いない」と咄嗟に思ったその子に向かって、えっさんは勇気を振り絞って「久しぶりだね!」と声をかけたところ「え?だれ?」と言われたのだ。ショォォォック!!!
しかし「同じ階に住んでいたえっさんだよぉ↑」と負けじと明るく答えたところ「・・・あぁ。ってか何その髪型?気合い入りすぎじゃない?」と冷たく言い放たれてしまった。またも、ショォォォック!!!
えっさんは思いがけない大ダメージを2度喰らい、他にどんな言葉をかけていいのか分からなくなりノックダウンしてしまったのだ。そして、そそくさと逃げるようにその子から離れてしまったのだ。

確かにえっさんは当日、美容院に行って「今日同窓会なので可愛くしてください↑」とリクエストしたところ、当時長かった髪をクルクルの縦巻きカールにしてもらったのだった。自分でも「盛っているな〜」と思っていたが、同じクラスの女の子たちからは「可愛いね〜どうやってやったの?」などと声をかけてもらっていたので、嬉しくなっていたが(単純なの)、その子の一言で一気にシュン⤵︎としてしまった(とても分かりやすいのだ)。

そして、えっさんは少し時間が経ってから彼女の言動を思い直したのだ。久しぶりに再会した近所の幼馴染に冷たい言動をとらなくてはならないほど今もきっと何かしんどいことがあるんではないだろうか、と。しかし、一方では相手の感情に配慮しないことが彼女にとっては特別な感覚ではないのかもしれないとも思った。

・普通の感覚って?

例えば、同じくらいの価格帯でどの住戸も販売されている都内のマンション。
仮に一番多い価格帯が3億円くらいのマンションを購入したり、賃貸したりしたとする。
そうすると、だいたいその価格帯のマンションが販売されているエリアは限定されるし、資産家でもない限り会社員では購入することは出来ない。
すると、このマンションのコミュニティ内の属性なんかも似通ってきたりする。
同じ都内でも、そこにずっと住んでいた子どもの「普通」と、えっさんが住んでいるエリアの子どもの「普通」とは異なるはずだ。

えっさんは、都営アパートに幼少期に住んで早くに学べて良かったことの1つが「普通」という基準が人によって大きく異なるということだったと感じる。
ドアに身体をぶつけていた姉妹は自分のことを「普通」だと言っていた。
また、可愛い容姿をした近所の同級生にとっては、人を仲間外れにしたり、再会した幼馴染に親しみを覚えないことが「普通」の感覚なのだろう。

10年以上昔だったと思うが「職業は?」と聞かれて「普通の会社員です」って答えることが難しい社会になったのだと話題に上ったことがあるような気がする。
今、「職業は?」と聞かれて自分のことを「普通」の会社員と答える人はかなり少ないのではないだろうか。
格差社会云々もあるかもしれないが、良い方に捉えるのであれば、日本社会にとって「普通」という感覚が多様であると認識が広まったのかもしれない。

同じように子どもの将来について親が聞かれて「普通に育ってくれたらいい」とか「普通に就職をして、普通に家庭を築いてもらえたら」とか言うことも少なくなってきているのではないだろうか。

今日の子どもが豊かに生きるヒント!

改めて我々親世代は「普通」という感覚、前提が人によって大きく異なることを認識した上で、子どもに接することがより一層求められている時代に生きている気がしてしまう。何気なく「普通」と発してしまう時、その普通の中身を具体性をもって伝えられるようになると、自分の中の基準や前提も明確になり、子どもにも「普通」と言う言葉を使わずに親世代の思っている「普通」を伝えられるようになるかも!

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