・「国際バカロレア【IB】」が必要とされる背景!
あなたは「国際バカロレア」についてどのくらい知っているだろうか?ここ数年、「国際バカロレア【IB:International Baccalaureate】」認定校が日本国内に増えており、実際にIBで高得点をとって海外の大学に進学した学生のキャリア支援もしたこともあった。しかし、えっさん自身は他の人から「IBって何?」って聞かれた時に具体的に説明することが出来ないので、⬇︎の書籍を買って読んでみた!
今日は、えっさんのような初心者の方に向けてIBについてかい摘んで、ご紹介したいと思う♪
世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする /ダイヤモンド社/イクコ・ツボヤ・ニュウエル | ||||
息子の通う幼児教室では毎回、子どもの教育に関連する最新情報について資料が渡されて、説明を受ける時間がある!先日の話が「今から海外の大学進学を視野に準備をしてください」という話だった。と言うのも、日本は教育に公的資金を投資せず、子どもの能力が伸びる時期に中学受験で詰め込み型の学習をするなど今の時代を生きる子どもの能力を伸ばすには時代遅れの教育システムなのだと説明があった。そのため、特に理系を目指すなら出来れば中学から欧米のボーディングスクール(全寮制の学校)に進学し、海外で学ぶ準備をしてください!という話だったのだ。(なお、ボーディングスクールについては、以前こちらのブログに書いたのでご参考まで⬇︎)
えっさんもこの手の話は前々から色々なところで見聞きすることが多くなっていたので、「1歳児の教室でもこうした話があるんだな〜」と少しびっくりしたのだ。この書籍の中でも、同じように日本は100年もの長い間一方通行の詰め込み型の教育が変化せず、国が教育費を子どもたちにいかに投資していないかデータを並べながら、日本の教育システムに警鐘を鳴らすことから話が始まった。
また、この書籍でも幼児教室の資料でも引用されていた次の研究結果が同じように掲載されていた。
デューク大学(米国)の経済学者キャシー・デビッドソン氏が「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもの65%は、大学卒業時に、今は存在していない職業につくだろう」と予測しているのだ。つまり、今ある職業の大半が将来なくなってしまう可能性があることを意味している。
それなのに、これまでの日本の教育で大丈夫なの?とどちらでも疑問を呈しているのだ。
最近えっさんも小学生の子どもがいる友人たちや、幼児教室の先生や資料、それに書籍や経済メディアなどからこうした日本の教育が危機であることと、今の時代を生きる能力を身につけるのには充分ではないという情報を見聞きすることがとても多くなった。
それでは、今を生きる子どもに一体どんな教育をしていったらいいのか?という疑問が次に浮かぶわけだが、この本の中では、その解として「一生学び続けられる人材を育てる」ことだと書かれていた。そして、こうした人材は、受け身の教育では育たず、「いま、自分を取り巻く世界に主体的にコミットする」ことが重要だとも書かれており、そのためにも学びの場自体を自ら考え行動する、主体的なものにしなくてはいけないのだと強調されていた!
こうした時代背景もあり、日本の大学入試システムをはじめとした教育制度改革の中で2013年文部科学省は「教育の国際化」の切り札として「国際バカロレア【IB】」の世界標準の教育プログラムの導入を決定したのだそうだ。
IBは世界共通の成績証明書とも言われており、大学入試制度改革において新たな学力基準を構築する上でも非常に参考になるものなのだそうだ。確かに、今や早慶上智ICUなどの私立だけではなく国立の大阪大学、筑波大学、さらには東北大学の医学部でさえもIBのスコア次第で入学できるのだからIBの結果をベースに出願できる大学・学部は今後も引き続き日本国内でも増えていくことだろう。
・「国際バカロレア【IB】」って何??
「国際バカロレア【IB】」はスイスで設立された非営利団体で、国際バカロレア機構によって運営されている!
IBは3歳〜19歳までを対象としており、3歳〜12歳までを対象としたPYP(プライマリ・イヤーズ・プログラム)、11歳〜16歳までを対象としたMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)、16歳〜19歳までを対象としたDP(ディプロマ・プログラム)の三段階にプログラムが分かれている。以下は、文科省のIB教育推進コンソーシアムのリンクから引用を参考まで。
国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
現在、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施しています。
文部科学省IB教育推進コンソーシアムHPより
もともとのIB設立の起源は、大学入試の仕組みが国によって異なるが故に、海外の大学に進学するときに本来その個人がもつ学力相応の大学に入学できないということがないよう世界統一の学力・試験を作ろうとしたことにあるそうだ。そのため、IBの中で最初に生まれたプログラムはDPなのだそう。
DPのプログラムを修了し、一定のスコアを取得すると現時点でも世界の2,500校以上の大学に【ハーバード大学、オックスフォード大学をはじめ海外名門校にも】入学することが可能なのだ!!
また、実際にIBスコアを基準に入学した学生が、入学後も好成績をおさめて学内で活躍していることから歓迎されているのだそうだ。中でも高く評価されているのが教育理念「全人教育」で、書籍の中では以下のように「全人教育」について記載があった。
思考力・表現力に重点を置いた高い知的水準の達成、異文化に対する理解と尊重を通じ、より良い平和な世界の創造のため、探究心旺盛で、聡明かつ思いやりのある若者を育成することを目標にしている
書籍「世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする」より
学力だけではなく、人間力を重視した知識や教養が身につくことを大事にしているっていいな〜とえっさんは感じた!!
さらに、使命や国際的な視野をもって活躍するためにどんな姿勢で学んで欲しいのかも10の人物像として掲げていて、こうした人物を目指す教育ってこと自体がIBのプログラムを修了し社会に出た人たちが、世界的に評価されている所以なんだろうと感じた。
・「国際バカロレア【IB】」の学校ではどんなことを教わるの??
前述の使命、理念、人物像を掲げるIBの教育プログラム。その実態が気になるところだが、日本国内ではIB教育をどこで受けることができるのかをお伝えしておこう。現在、文科省の以下のリンクに認定校【IBによる認定】についても掲載されているので、こちらをご覧いただければ現在の認定・候補校を確認することができる。気になる認定校をさらに調べてみるといいかもしれない。
ちなみにえっさんが調べてみた気になる認定校の中に、都内の練馬にある「東京学芸大学附属国際中等教育学校」があった。「MYP」と「DP」の「IB一貫教育:中高一貫校」を実践する初の国公立学校なのだが、いわゆる中学受験年齢の子どもが受験する過去の入試問題をみるだけでIB教育の一端が垣間みられたので、ご参照まで⬇︎
今回ご紹介した書籍「世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする」の著者は、1995年に設立された港区にある【東京インターナショナルスクール】の理事長をされており、2021年度より文部科学省大臣官房付国際政策特任フェローを受嘱されている坪谷・ニュウエル・郁子氏。
この書籍では、著者が設立したインターのPYPの事例をはじめ、他にもMYP(玉川学園)、DP(立命館宇治高等学校)の事例が掲載されており、実際にどんな教育が行われているのかが分かりやすく紹介されていたのでそれぞれ気になる方はご一読されてみてはいかがだろう⬇︎
世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする /ダイヤモンド社/イクコ・ツボヤ・ニュウエル | ||||
最後にえっさんがこちらに書かれていたPYP【3歳〜12歳までを対象】の事例で、いいな〜と思ったことをご紹介しよう!
授業の運営についても非常に練られた内容だと感じたが、それ以上に子どもの評価について、魅力的な手法を採用している感じた。
テストの点数をはじめ知識の量を測る評価をするのではなく、議論する力、リサーチする力、分析する力といった探求するために必要な多くのスキルを総合的に勘案し、他者と比べた相対評価をするのではなく一定期間において子ども自身が最初と最後でどれだけ成長したのかを評価するのだそうだ。
そのため、先生たちには一人一人の学習プロセスをしっかりとみて、個人の強みと弱みを把握し強みを伸ばして弱みを補完することを大事に、日々子どもたちと接することが求められる。
こうした評価の姿勢は、えっさんが日々子どもと接する中でどんな風に学びをサポートしてあげたいかという思いとも通じるところがあり、子どもの特性を活かすという意味でも有効だな〜と感じた♪
今の時代を生きる子どもたちに、どんな教育を受け、どんな人間性を備えた大人に成長をして欲しいだろうか。それを考える上でのヒントの1つが、国際バカロレアが実践する教育プログラムにあるように感じた。
これからの社会は、個人がそれぞれにもつ特性をいかに発揮して活躍できるかにかかっていると言われて久しい。個人の特性を伸ばし、人間性の成長にまで踏み込んだ教育の存在を知ることで、子どもが豊かに成長する学びの姿勢について改めて気づかされることも多いのではないだろうか。