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新卒で入省したキャリア公務員を1年経たずに辞めたい理由

・なんで辞めたいのか聞いてみた結果・・・

転職を支援する会社でキャリア相談を担当していると、第二新卒と呼ばれる学校卒業後間もない若者からの相談を受けることがここ1〜2年多くなった。

 えっさんが若者の転職相談を担当するときは、東大や京大はじめ難関大出身者の相談を担当することが多く、親世代からすると就職してほしいと思われる組織。例えば、キャリアの国家公務員や、誰もが知る就職難易度も高い大手有名企業なんかで働いている若者からの転職相談をよく受ける。

 恐らく5年くらい前では中央省庁で働くキャリア官僚の若者が、12年で転職を考えるということはそうなかったのではないかと思うが、この数年相談を受けることもとっても多い。

実際に「なんで辞めたいのか」を掘り下げてみると共通するのは親の影響で就職先を選んでいることに気づいた。

・「三菱」という名前がつく会社に就職してほしい親

面談をしている中で理由を深掘りするために「この組織で働こうと思ったのは?」と聞くと、はじめは立派な回答が返ってくるわけだが、本音ベースで掘り下げると

「とにかく潰れない、雇用が守られた組織で働くのが●●(子どもの名前)のためだと親から勧められた」という回答が返ってくる。

そして、「どうしてこのタイミングで、転職相談を受けてみようと思ったの?」と聞くと

「この組織が短期的にも長期的にも、自分には合っていないと感じる」というのが多くの若者の話を要約した回答だ。

「親が、『三菱』という看板がついた会社に就職するなら、大学院では自分の好きなことを学んでいいと言われたので、就職した」という若者にも出会ったことがある。

・子どもが親から受けていたキャリア志向

素直で、教養があり、コミュニケーション能力も高い若者でも、早々に自分の就職先に疑問を持つ背景には、親の影響は大きい。

子どもは、親の期待に応えたいという想いをどこかで抱えている。そして、親も子どもに「苦労させたくない」、「幸せに暮らして欲しい」という思いが前提にある中で、就職先に対して自身の経験と見聞きした偏りあると感じることが多い情報の中で子どもに期待をかける。

結果、子どもは就職先が合わずに「このままでいいのだろうか」と悩む。

子どものキャリアを考える上で、親が本来大事にしなくはならないのは、

本人の能力が充分に発揮できる何かを子ども自らが見つけられるようにサポートすること。そして、子どもが自分で選んだのなら、その選択が親の意に沿わなくとも最大限に尊重すること

ではないだろうかとキャリア相談を受ける中で日々感じる。

もっと、子ども自身をありのままに見て、受け容れることで子どもはびっくりするくらいいきいきとするのではないだろうか。

・自分に合わない組織とは?

では、「自分に合わない」組織とはどんな組織なのか?

こんな会話をよく若者とする。

えっさん
えっさん

どんなところが合わないと感じるんですか?

若者
若者

優秀な人もいるし、尊敬できる先輩もいます。でも、そんな先輩すら、自らの発案で業務やちょっとした体制を変えることもすごい時間がかかるんです。

えっさん
えっさん

自らの発案で変えていく。これがなかなか出来ない?

若者
若者

はい、多分私が入社して自分の考えで動けたのは、部署を超えて同期だけで担当した1日のイベントのプロジェクトの時だけで。その時、ブースのレイアウトを変更できたくらい。

えっさん
えっさん

イベントの仕事は自分で考えて動けたんですね。ブースのレイアウトをどんな目的をもって、どのように変えたんですか?

若者
若者

はい。お客さんの目線と動きに合わせて、伝えたいことが一番目に飛び込んでくるように配置を変えて、自分たちもお客さんと自然と目線が合うようにしました。そしたら、これまで以上にお客さんが立ち止まって、ブースに入ってきてくれて、それがとても嬉しかった。

えっさん
えっさん

自分たちが伝えたいことが相手に伝わり、それによってお客さんが興味をもってくれる。そのために、アイデアを出して、動く。そういうことが楽しいと感じるんですね。

若者
若者

そうなんです。でもこの時のことしかこの1年で思い出せない。一旦、自分の部署に戻ると自分の考えで動くことが出来ない。何かを変えるのに時間も労力もものすごいかかる。同じ部署に、尊敬する先輩がいて、もう10年以上勤務しているのに、先輩が変えようと動いたちょっとしたアイデアすら実現できないのを目の当たりにして、この組織で働くのは自分には無理だと思いました。

この若者が規律に忠実な仕事を、決められたルールや手順に沿って淡々と担うことが得意で好きなのであれば、今いる組織が自分に合っていたのかもしれない。

しかし、主体的に動ける環境で、日々少しでもいいから良い方向に変えられたという仕事こそ楽しいと感じる若者にはこうした組織は合わないのだろう。

 中央省庁や、有名企業が何かを変えにくい組織と言っているわけではない。中には若いうちから裁量があり、自ら考えて動ける若者こそ活躍できる組織や環境もある。

しかし、親の価値観で就職した組織であった場合、今を生きる若者が合わないと感じる割合も高くなるのは必然なのかもしれない。

早々に自分に合わないと気づくのはとても感度が高いと言えるし、自ら考えて動ける力があるということ自体、若者は立派に成長していると言えるのだから、あとは親の子どものキャリアに対する姿勢の問題なのだ。

・子どものために親ができるキャリアサポート

では、そんな若者をどう前向きに支援していったらいいのか。

これはシンプルに、次の仕事は自分の価値観と合致し、その上で自分の強みが発揮できる環境を選び、このケースの場合は、親がその環境を選んだ子どもの選択を心から応援してあげることだろう。

令和世代の若者が生涯1つの組織で働き続けることは大変レアなケースになると予測されているので、どこかのステージでキャリアチェンジの場面があって然るべきで、それを当たり前として親は受容していけるように親も変化していくことが望ましい。

もしかすると、転職や起業をしても「前の組織の方が安定していたし、給与も高かったな。我慢しておくべきだったのだろうか。」と立ち止まってしまうこともあるかもしれない。

そんな時こそ、「だから言ったのに」などと言うのではなく、

「●●が活躍できると思う仕事ってどんな仕事?仕事をする上での優先順位はどんなところにあるの?」と

子どもが新たな気づきや一歩を踏み出せるようにサポートしてあげてみてはどうだろう。

「理屈では分かっていても、自分の子どもとなると感情が先にきてしまうんです」という場合は、プロに頼ってもいいだろう。

大事なのは、あくまでも自分が考える子どもにとっての良いキャリアに誘導することをストップし、「あなたの選択を尊重している」というスタンスを子どもに貫いてあげることなのかもしれない。

今日の子どもが豊かに生きるヒント!

子どもには能力があると信じること。そして、親は子どもの能力が発揮できる場を、子ども自らが探せるようサポートしよう!サポートの方法はこれからどんどん更新していくよ!

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