・港区女子が親から影響を受けた結婚観
えっさんは、その女性と出会うまでは、港区で独り暮らししている女性と知り合うことがなかった。
ずっと港区に住んでいたり家族の事情で港区に住んでいる友人はいたが、その女性は地方から上京して、自ら港区に住むことを選び、月の給与から考えると割高となる1Rに住んでいた。
その女性の名前を仮に「りなさん」と呼ぼう。
りなさんの第一印象は、えっさんがAmazon prime videoで観た「東京女子図鑑」もしくはメディア「東京カレンダー」に合コンの参加者の一人として出てくる女性といった印象だった。
観たことがない人のために見た目のイメージで伝えるなら、身体のラインが目立つオフホワイトワンピースに、ヒールの高い靴を履いて、肩はシースルー、胸元は少し空いている感じ。目が大きくて、グラマラス。
りなさんは決してお高くとまっているわけではなかったし、基本的には親切で誰に対しても優しかった。
そして、素直で行動力があり、人を蹴落としたり、悪態をついたりするようなことはしない好感がもてる人柄だ。
経歴としては、地方の国公立大学を卒業し、CAを目指していたが叶わず、地上職として空港で勤務したあと上京し、有名企業OBの再雇用先でアシスタントとして働いていた。
飛行機に安いスーツケースを預けるのは、中身も安い男だと思っている!
りなさんはよくパンチのある発言をした。えっさんは男ではないがスーツケースを買いに行ったとき、りなさんのこの言葉を思い出し、予算より高いスーツケースを奮発してしまったほどだ。
共通の知り合いを通じて、りなさんとお昼ご飯を食べる機会が何回かあった。その時に話をしてくれた結婚相手の条件は直接目の前ではっきりと確信に満ちた声で言われるとインパクトがあった。
りなさんの結婚男性の条件は、シンプルだ。
過去に結婚歴がない20代のうちに年収1,000万を超えている男性。以上。
当時のりなさんは確か30代前半。
りなさん曰く、20代で自力で1,000万稼げない男に何ひとつ魅力はないとのことだった。
結婚相談所に行ってこの希望を伝えたところ「もう少し条件に幅をもたせた方がいい」と助言されて、結婚相談所には絶対に頼らないと固く心に決めていたのだ。
・親から常に他者と比較されて育った過去
りなさんは、常に出会いを自ら探しアクティブに行動していた。そして、話を聞く度にデートの相手は違う男性だった。しかし、りなさんのデートの相手のスペックはだいたい次の業界・職種の人だった。
外銀(外資系金融マンもしくはプライベートバンカー)、外コン(外資系コンサルティングファーム勤め)、総合商社勤め。たまーに自営業の人もいた。
今までの男性で一番魅力的な人ってどんな人なんですか?
沖縄に連れて行ってくれた人かな。だって、国内線のファーストクラスで沖縄に行って、プールがついている部屋に泊めてくれたから。
沖縄か〜、良いですね!沖縄旅行にデートで一緒に行くのは、思い出に残るし楽しそうですね!
その人はどんな男性だったんですか?
年収が1,200万くらいあって、少し小太りでアロハシャツとか着ていたのはおじさん感があったんだけど年齢は見た目より若くて、28歳くらいの人だった気がする。
えっさんは気づいてしまった。りなさんの会話の中の男性がどの人も同じように感じるのは、りなさんの口から男性のスペック以外の男性の人間性や価値観、デート中の会話のやり取りからどんな関係性を築いているのかがよく分からないことに。
そこでえっさんは、りなさんに少し突っ込んだ質問をしてみることにした。
りなさんが男性のスペックを重要視するのって何か理由があるんですか?
その問いかけにりなさんは少し考えた後、こんな話を最終的にしてくれた。
パパは地方公務員で、ママは地元では有名な美人だったんだ。パパとママはあまりつり合っていなかった。ママはずっとお見合い結婚を後悔していた。自分はこんな田舎にいるべき人間ではないと信じて疑っていなかったんだと思う。そして、姉弟の中でも、私にはママの理想を重ねていたところがあった。小さい頃から、習い事にしても勉強にしても、「近所の●●ちゃんは、こんなに出来るのにりなちゃんはダメね。」と言われて育った。弟は溺愛されていたが私には何事も厳しい親だった。何かについて比較されてそれがすごく嫌だったけど、自分の意見をママには言ったことがなかったし、反抗したりもしなかった。それなのに、今になってママを見返したいと思っている自分がいるのかも。
・親の呪縛から自分を解放するのは簡単なことではない
えっさんは、学生時代に「児童虐待」の授業を聴講していた。
虐待の実際の写真も生々しく、体調が悪くなって途中で外に出る人も多いその授業は、現場経験が長い外部講師の先生の授業で、修羅場をくぐり抜けてきた人特有の凄みがあった。
そして、その授業ではとても衝撃的な虐待事例を多く取り上げており、全員が緊迫感をもって授業の臨んでいた。
その時に学んだことがえっさん自身の家族観に与えている影響はとても大きい。
虐待の中でも心理的虐待(暴言、無視、拒否的態度、きょうだい間差別、脅し、自尊心を傷つけることを言うなど)は、通報や発覚がしにくいこともあり、長期化しやすい。
そして、子どもの心を何度も繰り返し深く傷つけていくので、子どものその後の人生に大きな影響を与え根深い。
りなさんの話を聞いてから、今ままでのりなさんの言動も親の影響が根強いのだろうなと考えるようになった。
ずっと他者と比べられて育って、数字や指標を計れるラベルに価値をおくようになったりなさんを誰が責められるというのだろう。
えっさんはその後転職をして、りなさんと話す機会はもうなくなってしまったが、今でもりなさんはどうしているだろうとふと考えることがある。
親の呪縛から自分を解放するのはそんな簡単なことではない。
それは、虐待と定義するほどのことではなくてもだ。だけど、親元から離れ距離をとったとき、自分は親からの言動に傷ついていたと気づいたのなら、自分自身を癒してほしいなと思う。
信頼できる人と心から安心できる関係を築いてほしい。
具体的な症状が出ていなくとも、メンタルの専門家に相談したっていいのだ。
そうやって傷ついた自分を回復させていくことが、巡り巡って自分の子どものライフにとっても癒しになる。
まずは、自分は傷ついているのだという事実を自分で認めることから、回復ははじまるのだ。
子どもを他者と比較したり、子どもの過去と比較したりするのはそれが褒める行為でもやめておこう。そして、過去の親の言動で傷ついている自分に気づいたら、自分を癒し、一歩ずつで大丈夫なので迷わず回復の道を歩もう。自分の傷が癒されることは、子どもにとっても癒しになるよ!
とても読みやすく、またいろいろ考えさせられる内容でした。
親の影響は良くも悪くも影響して、いつしか自分の価値観になっているので、親子関係に向きあうことで、より前向きに生きることができそうだなと感じました。
また次の記事も楽しみにしてます!
Hase30さん
コメントをいただき、本当にありがとうございます!!また、最後まで目を通していただき、心から感謝です。
私も同じように、自分自身の親子関係に対してもHase30さんと同じように向き合い、より前向きに歩めたらという気持ちでこの内容を書いたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです。
ありがとうございます!!Hase30さんにとって、何か少しでも明るい気持ちを届けられる記事をかけるように頑張りますね^ – ^